トピックス 院内感染の現況とその取り扱い
1.MRSA感染症—外科系病棟における取り扱い
荻野 純
1
,
岡本 美孝
1
1山梨医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.11-15
発行日 2002年1月20日
Published Date 2002/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902468
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はじめに
1960年代,欧米ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下,MRSAと略)による院内感染の報告が認められるようになり1,2),本邦でも1970年代に入ってMRSAの報告が散見されるようになった3)。1980年代に入り,本邦でもMRSAによる院内感染が注目を集め4,5),マスコミによる報道の影響もあって一時は社会的な問題にまで発展するに至った。特に外科系病棟においては術後感染の原因菌としてMRSAが問題となり,残念ながら未だに解決されていない問題として医療現場で悩みの種となっている。
山梨医科大学附属病院では,1987年代後半から入院患者から検出される黄色ブドウ球菌に占めるMRSAの比率が増加した(図1)6)。その他多くの施設でも数字的に若干の相違があるにせよ同様な状況が生じ,MRSAに対する危機感が高まり各施設において院内感染対策が叫ばれるようになった。各施設ごとの院内感染への取り組みがなされ,現在ではMRSA院内感染対策マニュアルも数多く発表され,各施設ごとに感染対策チームが活動を行い,ICD制度の発足など様々な対策が行われてきている。
本稿では,まず山梨医科大学耳鼻咽喉科における現状を述べるとともに,MRSAによる院内感染に対する留意点について述べることにする。
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