トピックス 院内感染の現況とその取り扱い
2.ペニシリン耐性肺炎球菌(PRS,PISP)
黒野 祐一
1
1鹿児島大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.17-21
発行日 2002年1月20日
Published Date 2002/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902469
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はじめに
公衆衛生の普及と優れた抗菌薬の開発によって,多くの細菌感染症は既に制圧されたかに思われた。しかし,21世紀を迎えた今日,ペニシリン耐性あるいは低感受性肺炎球菌(PRSP,PISP)やβ—ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌など耐性菌の出現と急激な増加,さらには結核などの再興感染症が大きな問題となっている。これらの細菌は,通常の社会生活や社会環境の中で発症するいわゆる市中感染症の起炎菌となることが多いが,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とともに院内感染症の起炎菌となることも少なくないことから,医療関係者の正しい知識と注意が必要とされる。
本稿では,上気道感染症で最も分離頻度が高く,また治療に難渋することが多いペニシリン耐性・低感受性肺炎球菌による院内感染症の問題点を探り,その対策について述べてみたい。
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