連載 手術・手技シリーズ
⑪ファイバースコープ下の声帯ポリープ切除
児嶋 久剛
1
1京都大学大学院医学研究科感覚運動系病態学講座耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.873-877
発行日 2001年11月20日
Published Date 2001/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902452
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
声帯ポリープに代表される良性の隆起性病変に対する手術では,声帯粘膜が本来もつ物性を損わないようにできるだけ控えめに,かつ極めて正確に切除しなければならない。この目的のために,現在広く全身麻酔下の喉頭微細手術(ラリンゴマイクロサージャリー)が行われている。この方法の利点は顕微鏡下に観察することで病変の範囲を正確に知ることができることと,全身麻酔によって安定した手術野が得られることであるが,一方,挿管チューブのために術創,特に後部声門部が見えにくくなること,手術中に患者の声や声帯振動の状態を観察できないこと,全身麻酔に伴う術前・術後の入院管理が必要なことなどの欠点があった。これらの利点,欠点を考慮し,われわれは局所麻酔下にもかかわらず正確に声帯ポリープを切除する方法を考案した1〜3)。
本稿では,この局麻下喉頭手術に焦点を当てて,その適応,微細手術の工夫やその限界を解説する。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.