連載 小児の耳鼻咽喉科・頭頸部外科シリーズ
⑪睡眠時無呼吸の診断と治療
川勝 健司
1
,
西村 忠郎
1
1藤田保健衛生大学第2教育病院耳鼻咽喉科
pp.625-629
発行日 2000年8月20日
Published Date 2000/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902234
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はじめに
睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)は1976年に米国スタンフォード大学のGuilleminault教授1)が「睡眠7時間中に持続時間10秒以上の換気の停止状態が30回以上存在するもの」と定義してから注目されるようになった。さらにSASは,その主たる原因によりcentraltype (中枢型),obstructive type (閉塞型),mixedtype (混合型)の3型に分類される2)。
小児におけるSASは激しいいびき,口呼吸に加えて睡眠時に無呼吸発作を反復し,身体発育や呼吸,循環器への影響を及ぼすこともある。また,稀に小児突然死症候群3)のように致命的となる場合もある。
小児のSASは,閉塞型無呼吸が圧倒的に多い。主な原因疾患を表1に示す。このうち,アデノイド肥大や口蓋扁桃肥大などによる上気道閉塞が大部分を占めており,ほとんどの場合,手術により劇的な改善がみられる。したがって,耳鼻咽喉科医のSASに対する診断と治療の役割は大きい。
耳鼻咽喉科領域では,アデノイド肥大や口蓋扁桃肥大による睡眠呼吸障害が主なもので,中には1〜2歳でも手術が必要なこともある。しかし,一般的には小児の口蓋扁桃摘出術の適応は,扁桃の免疫機能を考えると4〜5歳からが望ましいという意見もあり,1〜2歳の小児では手術加療を見合わせたり,先送りする傾向がある。当科では,症例によってはアデノイド切除術と片側の口蓋扁桃摘出術をまず行い,数年後に残りの口蓋扁桃を摘出する場合もある。
以下,小児睡眠時無呼吸症候群の診断と治療について,当教室の10数年にわたる経験を基に述べる。
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