特集 全身疾患と耳鼻咽喉科
Ⅳ.血液疾患
1.白血病と耳鼻咽喉科 ①白血病による耳疾患の臨床症状と病理
小田 恂
1
1東邦大学医学部第一耳鼻咽喉科学教室
pp.124-128
発行日 2000年4月30日
Published Date 2000/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902161
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はじめに
白血病は造血系細胞が骨髄の中で腫瘍化(白血病化)した疾患で,臨床病型としては急性白血病と慢性白血病に大別される。
急性白血病は,骨髄が白血病細胞に占拠されて正常造血機能が抑制されるために,正常血液細胞の産生が低下するのが特徴である。そのため赤血球,好中球,血小板などが減少する。臨床症状としては,赤血球減少によって動悸,息切れ,顔面蒼白などの貧血症状,好中球減少によって感染巣が確定できない発熱などの感染症症状,および血小板減少によって鼻粘膜や歯齦部や口腔粘膜などに出血がみられる。腫瘍化は造血幹細胞レベルで起こり,分化・成熟のある一定段階で分化・成熟能が停止するのが特徴で,一般に腫瘍化した細胞によって,急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病とに分類されている。
慢性骨髄性白血病も造血細胞の腫瘍化が本態であるが,分化・成熟能を保持したまま腫瘍化するのが特徴である。好中球,好酸球,好塩基球,血小板,赤血球の各系統の異常増殖をきたす。また,慢性リンパ性白血病は成熟リンパ球がクローン性に増殖する白血病で,95%がB細胞性である。慢性白血病の発症は徐々であり,進行しないと症状は現れない。脾腫による左上腹部の不快感,微熱,夜間盗汗,倦怠感などで医療機関を訪れ,発見されることが多い。
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