特集 全身疾患と耳鼻咽喉科
Ⅰ.呼吸器疾患
3.薬剤誘発性肺炎と耳鼻咽喉科
藤村 直樹
1
,
谷川 幹夫
2
,
岸 裕人
2
1国立療養所比良病院内科
2国立療養所比良病院薬剤科
pp.18-29
発行日 2000年4月30日
Published Date 2000/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902145
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薬剤により肺実質,間質,胸膜,気道などの呼吸器病変が誘発される(表1)。その頻度は,厳密かつ詳細な調査にもかかわらず,薬剤性誘発性肺疾患への認識と診断の困難さから正確には把握し難いが,中川ら1)は全国調査および自験例から0.06〜0.73%の発生率を挙げている。原因薬剤としては,近藤2)は間質性肺炎における1980年以前の306例の原因として抗癌剤,免疫抑制剤が83.3%を占めていたのに対し,1980〜1989年には50.3%に減少し,代わって抗生物質,抗リウマチ薬が増加し,その後,漢方薬,インターフェロンなどが出現してきた。
非ステロイド系消炎鎮痛剤NSAIDなどによる喘息,気管支痙攣は臨床的に極めて重要な問題であり,NSAID投与時には常にその発生の危険性を忘れるべきではないが,本稿では主に薬剤誘発性肺炎に限って詳説したい。薬剤誘発性肺炎は①肺傷害・間質性肺炎,②好酸球増多性肺浸潤:PIE,③胸水,胸膜炎がある。これらを「医薬品情報検索システムDISC」(株式会社帝人システムテクノロジー)にて検索し,各副効果に関する薬剤を薬効分類別に示した。
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