連載 小児の耳鼻咽喉科・頭頸部外科シリーズ
④心因性難聴の取り扱い
神田 敬
1
,
工藤 典代
2
,
浅野 尚
3
,
市川 銀一郎
4
,
井上 靖二
5
,
大迫 茂人
6
,
沖津 卓二
7
,
川上 頴
8
,
古賀 慶次郎
9
1神田耳鼻咽喉科医院
2千葉県こども病院耳鼻咽喉科
3浅野耳鼻咽喉科医院
4順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学教室
5井上耳鼻咽喉科医院
6多根総合病院耳鼻咽喉科
7仙台市立病院耳鼻咽喉科
8川上耳鼻咽喉科医院
9慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.947-953
発行日 1999年12月20日
Published Date 1999/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902089
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はじめに
心因性難聴については,特に1980年以後数多くの報告がみられる。その名称は心因性難聴以外に機能性難聴,非器質性難聴,精神的難聴,ヒステリー難聴など様々で,その概念や定義も多様で種々の見解がある。近年,複雑,多様化する社会構造の不確実性とそれに伴う,特に子どもの精神状況に著しい変化があり,家庭生活,学校生活でのストレスが増加してきていることが誘因の1つと考えられる。また,学校健診の普及で選別聴力検査の実施率が向上し,聴力の異常者がスクリーニングされやすくなってきている現況から,心因性難聴が検出される機会が多くなってきている。しかし,その病態が多種多様であるため,取り扱いが難しく,議論の余地がある。このような実状を踏まえて,(財)日本学校保健会のセンター事業として「心因性難聴小委員会」(古賀慶次郎委員長)が設置され,平成9年度より3年間の予定で調査研究を実施しており,平成11年度中に学校医向けと学校関係者への冊子を作成することにしている。
本稿では,現在までに検討されてきた内容と問題点を従来の文献を参考にして紹介する。
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