トピックス めまい—私の考え方
4.実地医家での聴神経腫瘍診断の要点—見逃し例の反省から
江上 徹也
1
,
隈上 秀高
2
,
重野 浩一郎
2
1江上耳鼻咽喉科
2長崎大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.672-679
発行日 1999年9月20日
Published Date 1999/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902044
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はじめに
聴神経鞘腫(AT)やその他の小脳橋角部腫瘍(CPT)は,その初期に片側の蝸牛症状を訴えて耳鼻咽喉科の実地医家を受診する可能性が高い。多くの耳鼻咽喉科外来診療所は多忙であり,医療機器にしても自院でCT,MRI,聴性脳幹反応検査(ABR)などが可能な施設はほとんどなく,見逃しの危険も大きい。耳鼻咽喉科以外の施設でCTやMRIを装備しているところでは,めまいや蝸牛症状が主訴であればほとんどの症状にこれらの画像検査が施行されているのが現実である。したがって,耳鼻咽喉科の実地医家で見逃し,市中の総合病院のCTやMRI検査で発見されて,脳外科へ手術のため紹介されるルートは少なからず見受けられる。
本稿の目的は,日常の耳鼻咽喉科外来診療の流れの中でATやCPTを見逃さないようなシステムを考えることである。筆者が開業して15年間で経験した27例28耳を呈示して,開業医における本疾患診断の問題点について検討したい。
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