Japanese
English
原著
外傷性唾液瘻の3症例
Three Cases of Salivary Fistula Caused by the Parotid Gland Injury
渡邊 一夫
1
,
川端 五十鈴
1
,
原田 輝一
2,3
,
村岡 道徳
3
Kazuo Watanabe
1
1埼玉医科大学総合医療センター耳鼻咽喉科
2埼玉医科大学総合医療センター救命救急科
3大阪市立大学医学部形成外科学教室
1Department of Otolaryngology, Saitama Medical Center, Saitama Medical School
pp.501-504
発行日 1999年7月20日
Published Date 1999/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902016
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はじめに
顔面外傷時に耳下腺,特に耳下腺ステノン管が損傷され,いわゆる唾液瘻,あるいは唾液嚢腫を生じることは少なく,日常臨床で耳下腺唾液瘻を経験することは少ないといわれている1,2〜6)。しかし,唾液瘻が一度発生すると,治療に抗して治癒しにくい場合がり,このようなステノン管の損傷に対しては,今までに多くの治療法が提唱されてきた1,3〜8)。これらの報告では,積極的治療としては,ステノン管形成術か耳下腺副交感神経切断術(Leriche氏手術)が中心のようである1〜8)。
われわれは最近,外傷によるステノン管の唾液瘻の3症例を経験した。そのうち2症例は保存的に治癒したが,残りの1例は保存的には治癒しなかったため,前腕の静脈の移植によりステノン管を形成し治癒せし得た。
今回,われわれの経験した唾液痩の3例の概要とともに,文献的考察を加えて報告する。
Two cases were managed by compression of the parotid area and sialorrhea was stopped. In the remaining case, a strip of vein removed from the forearm was used to reconstruct the damaged parotid duct, and the result was satisfactory.
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