Japanese
English
原著
歯科材料による上顎洞異物の1症例
A Case of Foreign Body (Dental Material) in the Maxillary Sinus
墨 一郎
1
,
川端 五十鈴
1
,
田部 浩生
1
Ichiro Sumi
1
1埼玉医科大学総合医療センター耳鼻咽喉科
1Department of Otolaryngology, Saitama Medical Center, Saitama Medical School
pp.357-360
発行日 1999年5月20日
Published Date 1999/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901992
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
上顎洞は小さい自然孔で外界に通じる腔であり,この自然孔からの異物の進入は少ない。したがって,上顎洞にみられる異物は外傷などの外力によって上顎洞骨壁を破壊して上顎洞に達したもの(外傷性)と医療行為が原因で上顎洞内に進入あるいは残存したもの(医原性)の2つに大別される。そして近年,外傷性よりも医原性異物が増加する傾向にある1)。
上顎洞底に隣接した歯槽突起には歯牙が存在するので,医原性上顎洞異物には歯根や歯牙などの歯科に関係するものが多くみられる。さらに,歯牙の治療に用いられる歯科器材や歯根充填材などの治療用具の迷入が報告されている1〜5)。われわれは最近,歯根管充填材の1つであるガッターパーチャポイントが上顎洞内に迷入し,しかも7年間の長期にたわって滞留していたという興味ある症例を経験したので,その臨床像を記載するとともに若干の考察を加えて報告する。
A foreign body (gutta-percha-point, dental mate-rial) was found in the maxillary sinus in a 25-year-old woman. The foreign body was thought to be introduced into the sinus during root canal treat-ment 7 years ago.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.