目でみる耳鼻咽喉科
第一鰓裂性瘻孔の1症例
桜井 幹士
1
,
今中 政支
1
,
愛宕 利英
1
,
山本 祐三
1
,
竹中 洋
1
1大阪医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.710-711
発行日 1998年10月20日
Published Date 1998/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901865
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第一鰓裂由来の奇形は,第二鰓裂由来の瘻孔,嚢胞と比べて比較的稀とされている。多くは瘻孔や嚢腫の形態をとり,感染を繰り返し,外来の治療に抵抗し,手術が必要となる。しかし,表在性病変からだけでは先天性嚢胞性疾患の鑑別は容易ではなく,手術に際しても十分な配慮が要求される。われわれは長期間の経過を経た第一鰓裂性瘻孔の1例を経験したので報告する。
症例は25歳,女性。幼少時より左外耳道に裂孔を認め,その部位に感染を繰り返していた。保存的治療によって軽快していたが,平成9年6月頃より左下顎角部の発赤腫脹と排膿を認めるようになった。同年7月5日当科を受診し抗生剤の点滴と局所処置を行ったが完治せず,瘻孔の状態から第1鰓裂由来のものと考え,平成10年2月5日根治的手術の目的で入院した。なお,既往歴や家族歴に特記すべきことはない。
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