トピックス ベル麻痺の診断と治療—最近の知見
3.ベル麻痺の保存的治療
阿部 祐士
1
,
白水 重尚
2
,
柳 務
2
,
高橋 昭
3
1名古屋大学医学部神経内科
2名古屋第二赤十字病院神経内科
3公立学校共済組合東海中央病院神経内科
pp.321-324
発行日 1998年5月20日
Published Date 1998/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901799
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
ベル麻痺は末梢性顔面神経麻痺の中で最も頻度が高く,日常診療においてしばしば遭遇する疾患である。本症の自然治癒率は高いと考えられているものの,全く治癒傾向を示さなかったり,兎眼による角膜障害や再生神経線維の異常連合による空涙現象など,侮りがたい後遺症を残す例が存在する。ベル麻痺の治療の必要性は,これら予後不良症例の適切な治療法の確立にあると考えられるが,未だ病因が明らかでなく,したがってその治療法にはなお一定した結論は得られていない1)。しかし,これまでに発案された数多くの治療法により治癒率が著明に向上してきているのも事実であり,その成果は目を見張るものがある。本稿では,現在の最も一般的な保存的治療法について,特に薬物療法を中心に概説し,新しい治療法の試みについても随所に紹介していきたい。
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.