目でみる耳鼻咽喉科
舌に発生した「いわゆる癌肉腫」の1例
直原 理絵
1
,
小池 薫
2
,
牧野 邦彦
3
,
志水 賢一郎
3
,
天津 睦郎
3
,
大林 千穂
4
1愛仁会千船病院耳鼻咽喉科
2西脇市立西脇病院耳鼻咽喉科
3神戸大学医学部耳鼻咽喉科
4神戸大学医学部附属病院病理部
pp.664-665
発行日 1997年9月20日
Published Date 1997/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901650
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舌に発生する悪性腫瘍はほとんどが扁平上皮癌であるが,肉腫様増生の強い「いわゆる癌肉腫(so-called carcinosarcoma)」はきわめて稀である。最近われわれは,いわゆる癌肉腫の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
症例:69歳男性。主訴:舌痛。家族歴:兄が前立腺癌で死亡。既往歴:悪性疾患なし。現病歴:平成7年7月下旬より左舌縁部に疼痛が出現した。その後唾液に血液が混じるようになったため,同年8月8日に某耳鼻科を受診し舌腫瘍を指摘された。神戸大学耳鼻咽喉科初診時には,左舌縁部に30×17×17mmの外向発育型,凹凸不整で,約10mmの茎をもつ腫瘍を認めた。同部よりの生検の結果,いわゆる癌肉腫と診断された。触診および画像診断で頸部に明らかなリンパ節転移は認められず,また遠隔転移も認められなかった。
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