トピックス 鼻アレルギーの診断と治療—最近の知見
V.鼻アレルギーの診断と治療のガイドラインとその解説
馬場 廣太郎
1
1獨協医科大学耳鼻咽喉科
pp.697-701
発行日 1997年9月20日
Published Date 1997/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901655
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はじめに
“鼻アレルギー(含花粉症)の診断と治療”と題するガイドラインは,第5回日本アレルギー学会春季臨床大会(平成5年5月)の特別シンポジウム「アレルギー疾患治療ガイドライン」の一部として作られたものである。対象はアレルギー学会認定医から,鼻アレルギーを専門としない実地医家まで広く役立つよう記載されているが,一方このガイドラインは個々の患者に対する治療上「参考」となることを期待したものであり,治療法を「規定」するものではないことが先ず述べられている。
このガイドラインでは,治療法の選択を重症度と病型の分類によって行っている。したがって,これら分類の基礎となる鼻アレルギー発症のメカニズムが重要となる。このメカニズムは研究の進歩によって修正を加える必要があり,診断,分類,治療についても同様である。事実,1993年に出版されたガイドラインは1995年には’95年改訂版が出され,その後も機会あるごとに討議がなされている。中でも1996年7月,日本アレルギー学会アレルギー性鼻炎委員会(世話人:奥田 稔)によって行われた第1回那須ティーチイン“アレルギー性鼻炎の臨床と発症機序”では,発症機序と重症度分類について現時点での合意がみられ,近くガイドラインに反映されるものと思われる。
本稿ではガイドラインの概説と那須ティーチインを中心とした最近の方向性について述べることとする。
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