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最初に私が国際学会で講演したのは,1975年,京都で開催された5th Extraordinary Meeting of the Barany Societyであった。この際Clinical Signifi-cance of Chorda Tympanectomy for Vertigoと題して講演した。
めまいに対する鼓索神経切断術は,「耳鼻と臨床42巻3号」に「メニエル病難治例に対するローゼンの鼓索神経切断術の役割」として掲載してあるように実に効果的な手術であるが,“A chorda tympanectomy went into disrepute in the United States many years ago and I don't believe that chorda tympanectomy has any real effect on Meniere's disease either from a therapeutic standpoint or from symptomatic standpoint”と激しく反論された。その時,この手術に対する反応は日本人と米国人で差があるのであろう,その差は局所的自律神経の差異であろうと考え,今後,私の業績は世界に問う必要があると思い国際学会に積極的に発表することとした。その後,約20年間にストックホルム,ソウル,東京,マイアミ,マドリード,ロンドン,東京,香港,ローマ,イスタンブール,コペンハーゲンと私のK・S(キリアン・調)額帯鏡,久保・調式歯槽上顎洞瘻孔閉鎖法および小児副鼻腔炎に対する上顎洞洗浄の方法,治療成績および副鼻腔炎の合併症である所謂原因不明熱,頭痛,咳嗽,非アトピー性喘息に対する効果などにつき講演し,かなり反響があった。このように,国際学会で話しをすることが「生き甲斐」と自信につながり診療が張りきって行えるようになった。さらに,学会で得た知識は結構日常診療および手術に役立ってきた。
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