連載 ケーススタディー めまい・難聴
連載を始めるにあたって
八木 聰明
1
1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.79
発行日 1995年1月20日
Published Date 1995/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901079
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患者がめまいや難聴を訴えて外来を受診したとき,病歴聴取から何を疑い,どのような検査の施行を計画するのか。その結果をどのように解釈し,いかに適切な治療方針を立てるか,また,その後にどうするのかについて順序だって考えなければならない。しかし,種々の成書を読んでも,あるいはめまいや難聴の手引書を読んでも,ここに述べたような思考過程に則したような順で書かれたものにはなかなか遭遇しない。
そこで,このケーススタディーでは,代表的な症例の提示を先ず行い,そこから考えなければならない疾患や病態をイメージアップするようにし,同時に鑑別疾患について考える。次に,これらの思考過程からどのような検査が必要であるかを判断する。一般の外来で行える範囲の検査と,その結果を提示し,病歴と検査結果から診断を行う。1つの疾患を特定できる場合もあれば,できない場合もあるであろう。できない場合には,さらに検査が必要か,あるいはこの段階で治療に移るかを判断しなくてはならない。さらに検査が必要と判断し,それが外来で行えなければ,他の施設を紹介しなければならない。ただし,それ以上の検査とはなにを指し,その検査からどのような結果が期待できるかの判断も同時にする必要がある。
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