講座 頭頸部外科に必要な形成外科の基本手技・6
骨の縫合と移植
上石 弘
1
1近畿大学医学部形成外科
pp.463-475
発行日 1994年5月20日
Published Date 1994/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900931
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はじめに
骨縫合は目的とする骨片に穴をあけ,鋼線を通し,締結して所定の位置に骨片を固定する操作である。骨折の治療,手術の到達路,顔面骨や頭蓋骨の移動,骨移植の際に必要な基本手技である。骨片の固定手段には鋼線による縫合のほか,ミニプレート固定,ネジどめ,K鋼線によるピンニングなどがあるが,前二者の使用頻度が高い。一般に骨縫合は骨固定と同義的に用いられており,本編では,鋼線による骨固定法とミニプレートによる固定法についてその基本手技とコツを解説した。一方,骨移植は骨縫合の手技を用いて骨の欠損部を修復する操作であり,これには遊離骨移植,有茎骨移植,血管柄付遊離骨移植,骨付遊離皮弁などがある。最近の傾向として,術野に近い部位からの骨移植,移植骨片の血行,術中体位変換の要否,donorの変形や醜形の防止などが術式の選択基準になっている。本項では最も利用頻度の高い遊離腸骨移植と有茎骨移植について解説した。
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