特集 耳鼻咽喉科の機能検査マニュアル
1.聴覚検査
[6]他覚的検査—④耳音響放射
大内 利昭
1
1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.71-79
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900808
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はじめに
耳音響放射(otoacoustic emission:OAE)は1978年Kempにより初めて報告された音響反応である。本反応は蝸牛より発生し,中耳伝音系を逆行性に伝わり外耳道に放射されたもので,外耳道に高感度のマイクロホンを設置することによりこれを記録することが可能である。OAEは蝸牛外有毛細胞機能に密接に関連した反応であると考えられており,本反応を他覚的蝸牛機能評価法として臨床応用しようとする種々の試みがなされている。しかし,OAEの発生機構に関しては未だ不明の点が多い。
本項ではこれまでに報告されている種々のOAEの概要,現在わが国で臨床応用されているOAEの測定法,聴力正常耳および疾患耳における主な所見とその臨床的意義などにつき,これまでのわれわれの検討で得られた成績を中心に記述する。
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