特集 耳鼻咽喉科の機能検査マニュアル
1.聴覚検査
[6]他覚的検査—③蝸電図
森 望
1
1香川医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.65-70
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900807
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はじめに
ヒトにおいて蝸牛音誘発電位〔蝸牛マイクロホン電位(cochlear microphonics:CM),蝸牛神経複合活動電位(action potential:AP)〕を測定する試みは穿孔耳においてや,中耳手術時に正円窓に記録電極をおくことにより,Andreevら1),PerlmanとCase2),Lempertら3)が報告しているが,難聴の診断のために手術的に正円窓に記録電極をおぎAPを記録したのはRubin4)が初めてであった。Ronis5)が初めてコンピュータにて同期加算することにより,耳硬化症の手術時に正円窓からの蝸牛音誘発電位の記録を報告した。同期加算法を使用することにより,非手術的に外耳・中耳に置いた電極から蝸牛音誘発反応(CM・AP)が記録できることがPortmannら6)とYoshieら7)の両者から報告された。Portmannら6)は局所麻酔下に鼓膜を穿通して鼓室岬角においた電極から記録し,Yoshieら7)は局所麻酔下に鼓膜に近い外耳道においた電極から記録した。以後,APは難聴の病態診断・部位診断などに有用とする多くの報告がされている。加重電位(summating po-tential:SP)に関してはSchmidtら8),Eggermontら9)により詳しく報告され,その後も多くの報告がなされ,メニエール病では他の内耳性難聴耳にくらべてSPが増大することが確認された。
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