増刊号 結果の読み方がよくわかる! 耳鼻咽喉科検査ガイド
Ⅰ.聴覚検査
蝸電図
將積 日出夫
1
1富山大学学術研究部医学系耳鼻咽喉科頭頸部外科学
キーワード:
蝸電図
,
調整誘発反応
,
メニエール病
,
内リンパ水腫
,
auditory neuropathy
Keyword:
蝸電図
,
調整誘発反応
,
メニエール病
,
内リンパ水腫
,
auditory neuropathy
pp.42-46
発行日 2022年4月30日
Published Date 2022/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411202981
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POINT
◆蝸電図は,音により蝸牛や蝸牛神経に発生する反応電位〔蝸牛マイクロフォン電位(CM),加重電位(SP),聴神経複合活動電位(AP)〕について,関電極と不関電極の間にできる反応電位の電位差として増幅し記録したものである.
◆通常,SPは陽性の電位であるが,メニエール病などの内リンパ水腫疾患では陰性化し,かつ高振幅化することが「異常−SP」として知られており,SP/AP比を計算することにより内リンパ水腫を推定することができる.
◆近年,内耳造影MRIにより内リンパ水腫が可視化できるようになり,メニエール病において画像検査と蝸電図を含めた内リンパ水腫推定検査結果との比較が行われている.
◆遅発性内リンパ水腫における異常−SP出現率はメニエール病確実例と同程度であるが,40%程度に異常を認めないため,症状の推移をみて再検査の必要性を考えるべきである.
◆突発性難聴では,異常−SPおよびAP高電位は予後良好な波形と考えられている.一方,AP無反応,+SPのみ,AP低電位はいずれも予後不良波形と報告されている.
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