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特集 見逃してはならない耳鼻咽喉科疾患—こんな症例には要注意!
《耳領域》
滲出性中耳炎だと思っていたら上咽頭癌だった!
Otitis media effusion and nasopharyngeal carcinoma
波多野 都
1
,
吉崎 智一
1
Miyako Hatano
1
,
Tomokazu Yoshizaki
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
pp.1000-1002
発行日 2018年11月20日
Published Date 2018/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411201863
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Case
患者は片側の中耳炎を反復する16歳,男性。
20XX年1月頃から月に1回の頻度で右中耳炎を繰り返し,近医耳鼻咽喉科に通院していた。右鼓膜に換気チューブを挿入され経過観察されていたが,同年7月下旬から頭痛が出現し,8月上旬に頭部MRIを撮影された。当院に紹介予定となったが,頭痛の増悪があり,受診予定日前に当院救急外来を受診した。耳鼻咽喉科診察にて上咽頭右後壁を中心に腫瘍性病変(図1)と両頸部リンパ節腫脹を認めた。後日の生検の結果,上咽頭癌と診断され,画像検査にて上咽頭右側に39×28×33mmの腫瘤性病変を認めた。病変は正中を越え左側にも及び(図2),右蝶形骨洞に骨破壊を伴いながら浸潤,蝶形骨や斜台にも浸潤していた。頭蓋底を破壊し頭蓋内にも浸潤,また右椎前間隙と頸動脈間隙にも浸潤を認めた。口蓋帆挙筋浸潤も伴い,右中耳・乳突蜂巣炎も確認された。さらに両側頸部に一部で壊死・変性を伴う多発する転移性リンパ節があったが,遠隔転移を疑わせる所見は認めなかった。これらよりT4N2M0:Stage Ⅳと診断され,同年8月下旬に入院のうえ交替療法が行われた。
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