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はじめに
めまいはさまざまな原因で生じるが,心理社会的影響が大きい心身症が多く含まれている。以前に総合病院耳鼻咽喉科にて検討したところ,外来めまい患者の42.9%が心身症であった1)。成人においてめまいは一般的なものであるが,小児のめまいを目にする機会はあまり多くない。海外の報告では成人および小児において,なんらかの原因で起こるめまいの有病率は23%および0.4%,前庭性のめまいは5%および0.05%と報告されており,小児のめまいの頻度は成人に比しておよそ100分の1程度と考えられる2)。頻度が少ないだけに,診断にも苦慮することが多い。さらに小児では,診断に必要な複数の臨床検査を行うことが困難である。また,患児にかかる負担を考えると,可能な限り不必要な検査を避けることが好ましい。
正確な診断のためには世代ごとにどのような症例が多く,どのような予後かを知ることは重要である。成人のめまいで最も頻度が高い良性発作性頭位めまい症(benign paroxysmal positional vertigo:BPPV)は小児ではほとんどみられず,良性発作性めまい症(benign paroxysmal vertigo:BPV),前庭性片頭痛は小児で高頻度にみられる疾患である3-8)。この2疾患については,国際頭痛分類より診断基準が提案されている。近年小児のめまいにおいては5歳以上と,5歳未満で疾患の頻度が大きく異なることが報告9)されている。本研究では,一般病院の耳鼻咽喉科における,小児めまいの臨床統計と治療の実際を明らかにすることを目的とした。また,年齢による疾患の頻度の違いについても検討を加えた。
The statistical analysis of pediatric patients who visited a general hospital was conducted to identify diagnosis and the treatment of these patients. The subjects were 30 patients. Benign paroxysmal vertigo, migraine associated vertigo and acute vestibulopathy were the common diagnosis. Generally the prognosis is good except the patients who were absent from school or with some psychosocial factors affecting the dizziness symptom. The ratio of psychogenic dizziness or orthostatic dysregulation was not much as reported before.
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