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特集 耳鼻咽喉科における心因性疾患とその対応
5.心因性めまい
5.Psychogenic dizziness
五島 史行
1
Fumiyuki Goto
1
1日野市立病院耳鼻咽喉科
pp.941-946
発行日 2010年12月20日
Published Date 2010/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101719
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Ⅰ.はじめに 心因性めまいとは?
めまいは前庭機能障害以外にも全身疾患などさまざまな原因で生じる。そのため診断に当たっては患者の前庭機能のみでなく,広く患者の全身の様子やライフスタイルなどを考慮する必要がある。心因性めまいの診断基準を挙げる(表1)1)。心因性めまいの診断は器質的,機能的めまい疾患の鑑別を十分行ったうえでなされるものであり慎重に行う必要がある。これには狭義の心因性めまいとしてうつ,不安障害,身体表現性障害などの精神疾患によって生じためまいと,広義の心因性めまいとして器質的前庭疾患がうつ,不安障害などの精神疾患によって増悪しているものがある(図1)2)。重要なことは危険な疾患や治療を急ぐ疾患を除外することであるが命の危険がない疾患であっても患者の苦痛度は深く,同じ疾患であっても患者によって訴えが大きく異なる。心因性めまいにはさまざまなタイプがあるが,今回は広義の心因性めまいとしてメニエール病にうつ病が合併した症例を呈示する。また器質的な疾患があった場合に,器質的疾患が治癒した後も症状が持続することが少なくない。これは身体化と呼ばれるものである。身体化した症例についての対応はいくつかの注意が必要であり3),その対応についてまとめる。
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