特集 耳鼻咽喉・頭頸部領域の痛み—その機序と臨床
V.痛みと東洋医学
痛みと鍼
野村 公寿
1
1東海大学医療技術短期大学
pp.961-963
発行日 1989年10月20日
Published Date 1989/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200446
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はじめに
鍼の歴史は,中国で錐または楔形の鋭い石を用いた石器時代に始まり,その後,春秋・戦国時代から漢時代に製鋼技術が発達し,黄帝内経霊枢には9種類の金属鍼具について記載されている1)。そのうち現在の鍼に受け継がれている代表的なものは鏡鍼ざんしんと毫鍼ごうしんであり,前者は小児鍼,後者は最も一般的な成人用の鍼として用いられている。そして単に機械的刺激のみでなく,電気的刺激(低周波置針療法2)など)やレーザーによる光刺激を加えることも行われている1)。
耳鼻咽喉科領域における鍼治療については,大迫3)が理論的に紹介している。しかし,これらの理論は西洋医学とは異なっており,難解でもあるので,ここでは疼痛を和らげるための治療として,特別な装置を必要としない毫鍼の刺入による機械的刺激について述べたい。
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