特集 耳鼻咽喉・頭頸部領域の痛み—その機序と臨床
III.非癌性疼痛
三叉神経痛の基本的治療
グリセリン注入法の適応と効果
十時 忠秀
1
,
原野 清
2
,
峯田 洋子
2
1佐賀医科大学麻酔科
2佐賀医科大学附属病院手術部
pp.875-879
発行日 1989年10月20日
Published Date 1989/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200429
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はじめに
三叉神経痛の治療法はカルバマゼピン(テグレトール®などの内服薬療法,神経ブロック療法と手術療法に大別されている。従来,本症に対する神経ブロック療法のほとんどは長期間の除痛を得る目的で神経破壊薬であるアルコールを使用しておもに末梢枝を,また複数枝罹患の場合はアルコールのガッセル神経節への注入によりブロックが行われてきた。その結果として当該神経の支配領域の皮膚あるいは粘膜の知覚を犠牲にして除痛が得られてきた。
我々は,この知覚障害を考慮して1981年スウェーデンのHåkanson1)により報告された三叉神経槽内グリセリン注入法を1984年より追試し,アルコールによるガッセル神経節ブロックに比し顔面の知覚障害の軽減,また単枝の三叉神経痛についても末梢枝のアルコールブロックより除痛期間の延長が認められており好結果を得ている。
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