特集 耳鼻咽喉・頭頸部領域の痛み—その機序と臨床
III.非癌性疼痛
三叉神経痛の基本的治療
臨床像,神経ブロック療法(アルコールブロック)の適応と効果
若杉 文吉
1
1東京慈恵会医科大学麻酔科
pp.862-868
発行日 1989年10月20日
Published Date 1989/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200427
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はじめに
ここでの三叉神経痛は,もちろん非癌性で,反射性交感神経性萎縮症や非定型顔面痛でもない,いわゆるこれまで特発性と考えられた三叉神経痛について述べることにする。
その特徴は,①秒単位の発作性激痛は痛みの王者といわれている。②慢性の経過をたどり,寛解期の長短はあっても,自然治癒はみられない,③疼痛部位は支配神経の領域に限られる。④痛みは外的刺激によって誘発され刺激がなければ痛まない,⑤他覚的所見や随伴症状はほとんどみられない。⑥50歳以上,女性に2倍多い,⑦原因はすっかり明らかになったわけではないが,頭蓋内での小血管の三叉神経への圧迫説が有力である。
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