鏡下咡語
古本
飯沼 壽孝
1
1東京大学医学部附属病院分院耳鼻咽喉科
pp.238-239
発行日 1988年3月20日
Published Date 1988/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200128
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その定義は定かではないが,俗に言い慣らわす古本には二つの種類がある。別に医書,文芸書と限らず,最近出版されたもので,一般の書店の棚にまだ並んでいる間に古本屋に出廻る古本と,大分以前に出版されて古本屋以外からは手に入らない古本とである。前者は『白っぽい』本で準新本とでもいおうか,すぐに役立つ本で,もっぱら経費の節約のためである。後者は年代の幅が人間の文字文化の幅と一致するので.ピンからキリまであって博物館の飾り戸棚に収まるものから,何処かの医局の書棚に転がっているものまである。ここでは後者を古本として扱い,われわれのごとくに教養が浅く漢籍,ラテン語,古代語を解さない連中でもまあ何とか読める古本に限ろう。具体的にいえば文明開化以降の古本である。
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