- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
画像診断の狙い
シェーグレン症候群は外分泌腺を系統的に侵す自己免疫疾患であり,女性に多く,乾燥性角結膜炎や口腔乾燥症(sicca syndrome)などの症状を示す。乾燥症状のみを呈する場合は一次性シェーグレン症候群,関節リウマチ,SLE,強皮症などの膠原病を合併する場合を二次性シェーグレン症候群と称している。反復する耳下腺腫脹がみられ,診断は厚生省シェーグレン症候群診断基準1)(表1)による。したがって画像診断の意義は血清学的,病理学的検査のほかに,耳下腺組織の変化とその変性の程度を知ることと,唾液分泌機能の低下を示す検査結果にある。耳下腺組織の変化は診断基準の項目である耳下腺造影(シアログラフィ)が第一に挙げられ,次いでMRI,MRIシアログラフィも耳下腺造影と同等の画像所見が得られる。唾液分泌機能については99mTcO4-シンチグラフィによる検査は現在の診断基準の項目に含められている重要な検査の1つである。
IgG4関連疾患(IgG4-related disease)は,血清IgG4の高値と病変部へのIgG4陽性形質細胞浸潤を特徴とする新しい疾患概念である。自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis:AIP)はすでにIgG4関連疾患として広く受け入れられている疾患であり,耳鼻咽喉科領域で扱うIgG4関連唾液腺疾患との合併も高頻度にみられる。ほかに後腹膜線維症,間質性腎炎,間質性肺炎,炎症性偽腫瘍,リーデル甲状腺炎などの合併もみられる。耳鼻咽喉科医に関連する疾患は従来の呼称であるMikulicz's disease(ミクリッツ病)とKüttner's tumor(キュットナー腫瘍)が挙げられる。ミクリッツ病はシェーグレン症候群の一亜型とされていた時代もあるが,現在はシェーグレン症候群とは異なる独立疾患となった。画像診断の意義はシェーグレン症候群と異なり,顎下腺の病変が多く,涙腺腫脹に関する組織学的変化をとらえるものである。現在用いられているIgG4関連ミクリッツ病の診断基準2)を表2に示す。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.