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特集 HPV・EBVと頭頸部腫瘍
EBVと悪性リンパ腫
Epstein-Barr virus-associated malignant lymphoma in head and neck region
岸部 幹
1
,
原渕 保明
1
Kan Kishibe
1
1旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.655-661
発行日 2012年8月20日
Published Date 2012/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102256
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Ⅰ はじめに
ヒト癌全体の20~25%は,ウイルスが原因といわれている。悪性リンパ腫も組織型によっては,ウイルスがその発生に根深く関与している。悪性リンパ腫に関連するウイルスとしては,アフリカの小児に好発するバーキットリンパ腫の原因ウイルスであるEBVが古くから有名である。また,成人T細胞白血病/リンパ腫はヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型感染がその原因として知られている。近年では悪性リンパ腫とさまざまなウイルスとの関連が報告されている。それらのウイルスの中で,EBVはさまざまな癌との関連が報告されており,頭頸部領域の悪性リンパ腫との関連もある。EBVは試験管内でCD21を介して,Bリンパ球に潜伏感染し,無限に増殖するBリンパ芽球株にトランスフォームさせる(不死化感染,試験内発癌)。ほかにも核抗原EBNA2(EBV nuclear antigen 2)や膜蛋白質LMP1(latent membrane protein 1)などのEBV蛋白質が宿主であるリンパ球の不死化に重要な役割を担っている。これまでに,多数のリンパ増殖性疾患との病因的関連が報告されてきている(表1)。本稿では,これらの中でそのほとんどが頭頸部領域から初発し,EBVがその腫瘍化に密接にかかわる鼻性NK/T細胞リンパ腫について概説する。
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