Japanese
English
特集 耳鼻咽喉科手術におけるナビゲーションとモニタリング
側頭骨外科
Temporal bone surgery
松本 希
1
,
小宗 静男
1
Nozomu Matsumoto
1
1九州大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科学
pp.352-358
発行日 2012年5月20日
Published Date 2012/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102195
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Ⅰ はじめに
ナビゲーション(navigation)の本来の意味は船を正しい方角に操縦する航海術(navis:船)のことであるという。これが自然に航空や陸上輸送でも用いられるようになり,目標に向かって正しい方向に導くことを一般にナビゲーションと呼ぶようになった。現代は自動車用地図はもちろん,インターネットを覗くと電車の乗り換え,ダイエット,治験,果ては散歩(辞書では「特に目的地を設けずに歩くこと」とされている)までナビゲートされている。まさしく現代はナビゲーションだらけの世界であり,その意味で外科手術だけ手探りの位置確認を強いられるほうが時代に取り残されているともいえる。
一般に手術ナビゲーションまたはナビゲーション手術という場合,現在二種類の意味がある。一つはCTやMRI画像を高度に編集,再構成して手術中にみたい臓器をみたい方向に「手動で」画像作成できるソフトウエアであり,通常その画像は三次元化されている1,2)。もう一つが手術器具の三次元位置座標を得て,それを患者のCT,MRIなどの画像座標に変換し表示することで手術器具の位置を執刀医にフィードバックするハードウエアであり,この場合画像の二次元/三次元を問わないが現在は二次元が多い。両者とも定義上の「ナビゲーション」が可能であり,両者を融合したナビゲーション(図1)も今後広まると思われるが,一般に多くの外科医が「ナビゲーション」と呼ぶのは後者のハードウエアのことである。本稿ではナビゲーション機器を用いた側頭骨手術の現状と課題について報告する。
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