特集 最新の診療NAVI―日常診療必携
Ⅶ.炎症・感染症診療NAVI
9.HPV感染症
齋藤 康一郎
1
,
矢部 はる奈
1
1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科
pp.223-226
発行日 2012年4月30日
Published Date 2012/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102162
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Ⅰ HPV感染症―特に喉頭気管乳頭腫症について
ヒトパピローマウイルス(human papilloma virus:HPV)は,2本鎖DNAウイルスで,その感染に際しては,種特異性が高い。HPVの遺伝子情報は,非構造蛋白質をコードする初期遺伝子群と,構造蛋白質をコードする後期遺伝子群および遺伝子をコードしていない発現調節領域から構成されている。
HPVは皮膚・粘膜の表皮の小さな傷を通して表皮最下層の基底層に感染し,基底層とその上の有棘層に潜伏する。細胞分化とともにウイルスゲノムは複製され,顆粒層から角質層といった,表皮の上層にかけてウイルス粒子が形成される。この位置関係から,抗原性のあるウイルス粒子は血中に侵入せず,また基底膜下の抗原呈示細胞に曝露されないことから,免疫応答による排除を受けにくい。
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