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特集 知っておきたい精神神経科の知識―専門医の診方・治し方
耳鼻咽喉科領域における抗うつ薬の使い方
How to use antidepressants in otolaryngology
櫻井 準
1
,
渡邊 衡一郎
1
Hitoshi Sakurai
1
1慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
pp.193-197
発行日 2012年3月20日
Published Date 2012/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102085
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Ⅰ 抗うつ薬の種類
抗うつ薬は主にセロトニン,ノルアドレナリン,ドパミンのトランスポーターの再取り込み阻害によって効果が発現するとされる。現在各疾患の第一選択薬として主に用いられている抗うつ薬には,セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI),セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI),取り込み阻害によらないノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)やスルピリドがある(表1)1,2)。三環系抗うつ薬は抗コリン作用などの副作用や過量服薬時の危険性から,現在第一選択として使われることは少ない。
セロトニンは不安,緊張,衝動性などに関係することから,SSRIは抑うつ症状だけでなく,強迫症状,過食,依存,不安・焦燥などにも幅広く用いられる。薬物を代謝するCYPやP糖蛋白質の阻害作用があるため,他剤と併用する際は注意が必要である3)。ノルアドレナリンは意欲や慢性疼痛に関係することから,SNRIは糖尿病性神経障害,三叉神経痛,線維筋痛症などの慢性疼痛にも応用される。SSRIに比べてCYPやP糖蛋白質の阻害作用は少ない。NaSSAはセロトニンとノルアドレナリンの放出を促進することで効果が発揮され,SNRIよりさらにCYPやP糖蛋白質の阻害作用が少ない。副作用の眠気や体重増加を逆に利用することで,不眠や食欲低下がある患者の症状を改善させるかもしれない。スルピリドはドパミンに作用し,食欲や発動性の低下に対して効果がある。
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