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特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅳ.臨床応用薬
抗うつ薬
Antidepressants
本橋 伸高
1,2
,
高橋 清久
3
Nobutaka Motohashi
1,2
,
Kiyohisa Takahashi
3
1山梨医科大学精神神経医学教室
2現:広島大学医学部神経精神医学教室
3国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第3部
pp.529-531
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900284
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「概説」
抗うつ薬は偶然に発見された。一つには,抗結核薬であるipriniazidに気分高揚作用が見出され,この薬が抗うつ薬として用いられるようになった。ipriniazidにはmonoamine oxidase(MAO)阻害作用があることから,MAO阻害剤が臨床的に用いられるようになった1)。他方,抗精神病薬の開発中に発見されたimipramineに抗うつ効果のあることが見出された。この薬物にはセロトニン(5-HT)とノルアドレナリン(NA)の取り込み阻害作用のあることが明らかになり,同様の構造を持つ三環系抗うつ薬amitriptyline,clomipramine,desipramineなどが広く用いられるようになった1)。さらに,非三環系の抗うつ薬が開発され,副作用の少なさと速効性を特徴とすることで,数多く処方されるようになっている。これらのなかには,5-HTやNAの取り込み阻害作用がほとんどないものもあり,抗うつ薬の作用機序を考えるのが難しくなっている。わが国で用いられているものでは,四環系の薬物であるmaprotilineとmianserinがあり,また,欧米では,fluoxetine,trazodone,nomifensineなどの薬物が用いられている。現在MAO阻害剤はわが国ではほとんど用いられていない。
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