Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Ⅰ.はじめに
CDH23遺伝子は内耳有毛細胞の動毛,不動毛の間を架橋するチップリンクの構成蛋白であるカドヘリン23をコードする遺伝子であり,聴覚にとって重要な機能的役割を担っている1)。
また,CDH23遺伝子はUsher症候群type 1D,DFNB12の原因遺伝子であることが知られている2,3)。
Usher症候群type 1Dは,先天性高度感音難聴に加え,思春期頃までに前庭機能障害と網膜色素変性症が進行するのが特徴である。CDH23遺伝子のフレームシフト変異やナンセンス変異,ミスセンス変異によって起きるとされる3)。
一方,DFNB12は,非症候群性難聴であり,めまいや視覚障害などの随伴症状はなく,CDH23遺伝子のミスセンス変異によるといわれている3)。
われわれはCDH23遺伝子変異が日本人の難聴の重要な原因であることを報告した4)。
臨床的には進行性の高音障害型感音難聴である例が多く,難聴の発見や,補聴器の装用時期,人工内耳手術の時期などについて配慮が必要である。過去にGJB2遺伝子やSLC26A4遺伝子については,人工内耳の効果についてさまざまな検討がなされている5)。一方,CDH23遺伝子による非症候群性難聴については介入法,治療法に関する報告はない。
今回,われわれはCDH23遺伝子変異による先天性高音障害型感音難聴を呈し,人工内耳埋め込み術を行った3症例2家系を経験したので臨床像とその治療効果について報告する(表1)。
遺伝子解析の詳細は省略するが,今回の症例はWagatsumaら4)が報告した5家系のうち2家系(#3および#5)3症例である。
Mutations in the CDH23 gene are known to be responsible for both Usher syndrome type ID(USH1D)and non-syndromic hearing loss(DFNB12),and molecular confirmation has become important in the diagnosis of these conditions. Hearing loss of the patients with CDH23 mutations is congenital or early onset,progressive high frequency involved hearing loss. With regard to the intervention of the patients with CDH23 mutations,no detailed study has been published. In the present paper,we reported three patients received cochlear implantation and showed good performance after implantation. We concluded that cochlear implantation is a good therapeutic intervention for the patients with CDH23 mutations.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.