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特集 知っておきたい唾液腺疾患
MTX関連リンパ増殖性疾患
Methotrexate-associated lymphoproliferative disorders:MTX-LPD
長門 利純
1
,
原渕 保明
1
Toshihiro Nagato
1
1旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.551-556
発行日 2011年7月20日
Published Date 2011/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101911
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Ⅰ.はじめに
メトトレキサート(methotrexate:MTX)は従来から白血病や悪性リンパ腫などの非上皮性腫瘍に対する抗癌剤として使用されている。最近になって,慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)を中心とした自己免疫疾患に対する免疫抑制剤として低用量(5~15mg/week)を長期間服用することが推奨されている1,2)。MTX関連リンパ増殖性疾患(methotrexate-associated lymphoproliferative disorders:MTX-LPD)とは,このように低用量のMTXを長期間服用した結果,細胞性免疫の低下によって生じる日和見リンパ腫などのリンパ球増殖性疾患と考えられている。RAの定型的治療法としてMTX低用量持続療法の使用頻度の上昇に伴い,本疾患も増加している。また,本疾患は40~50%の症例がリンパ節以外に発生し3,4),その中で頭頸部のワルダイエル扁桃輪が最も多い。唾液腺に発生することは稀ではあるが,唾液腺腫大を主訴としほかの唾液腺疾患と鑑別を要するため,耳鼻咽喉科専門医として知っておきたい疾患である。本稿では,筆者らが経験した症例を提示し,唾液腺を含めた耳鼻咽喉科領域に生じるMTX-LPDに関して概説する。
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