特集 最新の診療NAVI―日常診療必携
Ⅻ.特殊疾患診療NAVI
5.MTX関連疾患
長門 利純
1
1旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.351-355
発行日 2012年4月30日
Published Date 2012/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102187
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Ⅰ はじめに
メトトレキサート(methotrexate:MTX)は白血病や悪性リンパ腫などの非上皮性腫瘍に対する抗癌剤として使用されるほか,慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)を中心とした自己免疫疾患に対する免疫抑制薬としても使用される1)。近年,MTXを内服している患者にMTX関連リンパ増殖性疾患(methotrexate-associated lymphoproliferative disorders:MTX-LPD)が生じうることが明らかとなっている。本疾患は,造血器腫瘍のWHO分類に表記されている疾患であるが,通常の悪性リンパ腫と異なりMTXの服用を中止または減量するだけで寛解しうるといった特徴がある。本疾患のこの特徴を知らず,治療の第一選択として化学療法や放射線照射などの過剰治療が行われる場合も懸念される。また,本疾患は40~50%の症例がリンパ節以外に発生し2),頭頸部の節外性病変も比較的多いため3),耳鼻咽喉科専門医として本疾患を理解しておく必要がある。本稿では,MTX-LPDに関して診断・治療のフローチャートを示しながら概説するとともに,当科で経験した症例を提示する。
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