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特集 めまい―最新のトピックス
外リンパ瘻とめまい
Perilymphatic fistula and vestibular symptoms
池園 哲郎
1
Tetsuo Ikezono
1
1日本医科大学医学部耳鼻咽喉科
pp.51-57
発行日 2011年1月20日
Published Date 2011/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101733
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Ⅰ.はじめに
外リンパ瘻は今まで考えられてきたよりも,さまざまな原因で発症し,多彩な臨床像を呈する(表1)。外リンパ瘻の定義は『外リンパ腔が骨迷路の異常な交通路を介して外腔と交通している状態』である。最近報告が多い半規管裂隙症候群は漏出がない外リンパ瘻の代表である。わが国で外リンパ瘻といえば,外リンパ漏出がその原因とされる特発性外リンパ瘻(鼻かみ型)が想起される。また,アブミ骨外傷による外傷性外リンパ瘻は,耳かき習慣のあるわが国からの報告がほとんどである。世界的にみると『外リンパ瘻』という疾患名を用いた論文は徐々にその数を減少しつつあり,とりわけ特発性外リンパ瘻はその存在すら否定されてきた。
最近報告された外リンパ漏出の生化学的確定診断マーカーCTPを用いた報告では,外リンパ瘻の特徴が明らかになりつつある。例えば,特発性外リンパ瘻は確かに存在し,めまいを訴える頻度が高い,眼振が認められる症例が多い。アブミ骨外傷症例やアブミ骨術後症例では難聴よりもむしろめまいを主訴として受診する,など前庭系の症候が診断の鍵となる。この点についてもフォーカスを当てながら,本稿では外リンパ瘻の診断・治療を論ずる。
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