Japanese
English
特集 耳鼻咽喉科における心因性疾患とその対応
1.心因性疾患の評価法とその対応
1.Evaluation and management of the psychogenic diseases
中山 明峰
1
,
村上 信五
1
Meiho Nakayama
1
1名古屋市立大学医学部耳鼻咽喉科
pp.917-920
発行日 2010年12月20日
Published Date 2010/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101715
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Ⅰ.はじめに
耳鼻咽喉科は感覚器を多く取り扱う領域であり,感覚器の感知閾値は心因性素因により大きく左右される。めまい,耳鳴,耳閉感,のどの違和感,味覚異常,嗅覚異常などと,感覚障害を訴える患者は頻繁に受診される。一般的に耳鼻咽喉科外来は外科的な処置を必要とし,多忙である。このような状況で,感覚障害を訴えた患者が受診することで診察の流れが滞り,診療に戸惑うことが隠せない医療者も多くおられることと思う。
例えば,めまいに心因性素因が強く関与することは過去から多く報告されている。近来,自殺率が年々増加し,社会問題となっている。その引き金となっている根底にうつ病が頻繁にみられ,うつ病はストレスと大きな関連をもつ。『めまい』は重症化する傾向にあるうつ病を予告する症状の一つと報告されており1),これらの患者が精神科に精通していない一般医にかかる可能性は十分に考えられる。めまいのみならず,類似した感覚障害に共通してみられる可能性がある。そのため,心身医学に関心をもつことが耳鼻咽喉科医に問われている2,3)。
この稿では心身障害の関与が疑われる耳鼻咽喉科疾患に対して,筆者らが心がけていることについて記す。正しい診断,過去の薬物の整理に加え,薬物と心理精神療法がポイントである。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.