第26回日本公衆衛生学会から シンポジウム
これからの老人保健福祉対策
磯 典理
1
,
吉田 寿三郎
2
,
小倉 襄二
3
,
孝橋 正一
4
,
大和田 国夫
5
,
小林 文成
6
,
小国 英雄
7
,
丸山 創
8
,
花岡 好子
9
,
木下 トミエ
10
1大阪市城東保健所
2大阪医科大学
3同志社大学文学部
4龍谷大学文学部
5大阪市立大学医学部
6長野県伊那市楽生学園
7社会福祉法人健光園
8大阪府泉大津保健所
9京都市民生児童委員会
10京都府亀岡保健所
pp.30-53
発行日 1969年9月10日
Published Date 1969/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204498
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在宅老人の健康と生活の実態
司会 ただいまから「これからの老人保健福祉対策」と題して,シンポジウムを始めます。司会者として最初に一言申します。最近わが国の人口は急速に老齢化して短期間の年月で欧米に匹敵するような状態になりました。65歳以上の人口をみますと,昭和40年に618万でありましたが,現在,このままの状態がつづくとしますと,昭和45年には736万,50年には876万の老人がこの日本の国に存在することになります。これは全国人口の約8%をしめるようになるわけであります。一方,公衆衛生の発達および医療の進歩により,疾病構造は変化し,細菌感染や妊産婦,乳幼児等の死亡は非常に減少し,成人病による死亡が年々増加しています。このことは,老人の慢性あるいは退行性疾患の増加を意味し,老弱の状態で生きながらえる老人が,ますます増加することを物語っています。ここで必然的に,基本的人権を尊重する立場から,老人擁護の必要性が次第に高まってきました。ひるがえって,わが国における平均所帯人員を調べますと,昭和25年に1所帯の平均が5.02人であったのが,昭和42年には3.97人と年々減少して,この傾向はますます続くものと考えられます。そして夫婦と子供だけの,いわゆる核家族になる傾向が顕著であります。
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