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臨床研修制度の改変後,大学,市中病院の勤務医の流れに変化が出て久しいが,耳鼻咽喉科医については日耳鼻調査によると新しく耳鼻咽喉科を選択する医師数は改変前に比較して減少したままである。耳鼻咽喉科医の勤務医,開業医の理想的な数についてははっきりとした答えは述べられないが,制度改変前後の新規の女性耳鼻咽喉科医師数に大きな変化はなく,むしろ新規の男性耳鼻咽喉科医の数,比率の減少が目立つ。医師不足の解消の一端として厚労省,日本医師会,各大学病院などでは女性医師復帰支援に関するさまざまな提言,プログラム作成が成されており,一定の成果は上がっていると考えられる。唯,女性医師といってもその背景は多様である。開業し地域医療に根ざしている先生,週の何日かを定期的に勤務(パート医)している先生,フルタイム勤務医,当直免除勤務医,例えば午後5時までと時間を制約している先生,外来のみの勤務などであり,何れもその先生の価値観に従うものであれば他人が口をはさむものではないといえます。耳鼻咽喉科医不足の病院は多く,復帰希望女性医師はどのような形態でもウェルカムと推測されます。ハード面については多くの復帰プログラムにあるように徐々に解決しうる問題ですが,個々の価値観,考え方については別問題と思われます。年単位で完全に医療から遠ざかっている女性医師支援は外来に来て患者さんと接する,問診をとる,耳・鼻・喉を診る,薬を処方するなどきわめてprimitiveなことから支援がはじまります。さらに女性医師が増えるにつれ,今後は女性医師間の支援の格差・不平等感に対していかに気配りをするのかが次のステップとなるでしょう。
さて,先月号に引き続いて本号も原著論文を多く掲載させていただきました。内容も幅広く,貴重な症例が紹介されています。ご一読下さり,日々の臨床に生かしていただけたらと思います。
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