Japanese
English
特集 耳鼻咽喉科領域の術後機能評価
5.頸部郭清術
5.Neck dissection
鬼塚 哲郎
1
,
田沼 明
2
Tetsuro Onizuka
1
1静岡県立静岡がんセンター頭頸科
2静岡県立静岡がんセンターリハビリテーション科
pp.393-398
発行日 2010年5月20日
Published Date 2010/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101631
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Ⅰ.はじめに
頸部リンパ節転移の浸潤などによって副神経が切除されると,体積の大きな僧帽筋の脱神経により,肩の下垂,鎖骨上の陥没,肩周囲関節の偏位,上肢運動障害などを伴うshoulder syndromeと呼ばれる状態となる。一方,近年一般的となった副神経を保存する頸部郭清術においても僧帽筋麻痺が回避できているわけではない。術中の筋鉤をはじめとした副神経への障害により,多くが僧帽筋麻痺をきたしていることが知られている。この僧帽筋麻痺は一過性であるが,適切な指導が行われないと,肩周囲の複数の関節障害に発展し,運動障害や痛みなどの後遺症を残すことになる。根治的,保存的の頸部郭清術のいずれにしろ,僧帽筋麻痺に対する評価と適切なリハビリテーションが行われれば,上肢機能の改善が得られる。ここでは,頸部郭清術後の僧帽筋麻痺の上肢機能に与える重要性とその評価,対応,経過などを述べる。
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