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Ⅰ.はじめに
頭頸部癌は原発部位が多岐にわたり,それぞれの症例数が多くはないうえに,同一疾患であっても病期や合併症の有無などにより治療方針が症例ごとに異なる場合が多く,原発部位別にクリニカルパス(以下,パスと略す)を作成するのは困難と考えられている1,2)。そのため,疾患ごとではなく,手術や放射線,化学療法といった治療内容によってグループ分けをしてパスを作成する試みがなされている。頭頸部癌の手術においても切除範囲や頸部郭清,再建,気管切開の有無などにより術式が多岐にわたり,術後経過も一定しないため,疾患ごとにパスを導入するのは困難ではあるが,頸部郭清術や舌部分切除術,単純喉頭全摘術など一部の術式においては術後経過も比較的一定しておりパスの運用が可能である。
頸部郭清術は原発巣の切除と同時に行われる場合が多い。しかし近年,放射線化学療法の発展により,進行癌においても一次治療として放射線化学療法が選択され,原発巣が制御される症例が増加しており,それに伴い,放射線化学療法後に頸部郭清術を単独で施行する症例が増加するものと考えられる。当科の場合,2006年に単独の頸部郭清術目的に入院した症例は22例であり,放射線化学療法後が12例,手術後の頸部再発が10例であった。
頸部郭清術は郭清範囲により多彩な術後合併症の可能性があり,バリアンスの原因となり得るが,大きな合併症が起きる場合は少なく,パスの運用は十分可能である。各種頭頸部癌で頸部郭清術目的に入院した場合において,DPC(diagnosis procedure combination)では頭頸部悪性腫瘍,手術あり(そのほかの手術)と分類され,入院期間Ⅰ未満(1日当たり2,738点)は最初の14日間,入院期間Ⅱ未満(1日当たり2,173点)は15~38日目,入院期間Ⅱ以上(1日当たり1,847点)は39~98日目,入院99日目以降は出来高払いとなる。これは,化学療法や放射線治療の追加の有無にかかわらず同一である3)。
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