特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅱ.めまい検査
4.前庭眼反射を用いた検査(温度眼振検査,回転刺激検査)
肥塚 泉
1
1聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.109-115
発行日 2010年4月30日
Published Date 2010/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101598
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Ⅰ はじめに
めまい・平衡障害を訴える患者の診断に際しては,問診,視診,聴力検査,平衡機能検査,神経学的検査,画像診断,血液検査などで得られた結果の総合的判断が必要となる。これらの中で平衡機能検査の役割およびその使命は,①患者の訴える平衡異常を他覚的に把握しこれを記録・保存する,②平衡機能障害の病巣局在診断を行う,③治療効果の客観的な評価を行うなどである。平衡機能検査には,日常生活の範囲内においてout putの状態を観察する検査と,軽い負荷を加えてout putの状態を観察する検査(誘発または負荷検査),そしてさらに迷路,視器,深部知覚器などを積極的に刺激し,刺激に対するout putを定量的に観察および記録する刺激検査の3つに大きく分類することができる。温度眼振検査,回転刺激検査はこれらの中で,3番目の刺激検査に属し,前庭系を刺激した結果,前庭眼反射によって生じるout putとしての眼振を観察・記録した後これを評価する検査法である。本稿では,前庭系の刺激検査の代表格である,温度眼振検査と回転刺激検査について述べる。
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