特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅱ.めまい検査
5.VOG(video-oculography)
八木 聰明
1
1千葉・柏リハビリテーション学院
pp.117-123
発行日 2010年4月30日
Published Date 2010/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101599
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Ⅰ はじめに
眼球運動には,頭部の中心を通る3つの軸〔垂直軸:Z軸,両耳を通る水平軸:Y軸,さらに視線の方向である前後軸:X軸(図1)〕を中心として回旋する3つの眼球運動がある。水平,垂直,回旋の各運動である。水平と垂直の眼球運動,すなわちZ軸とY軸を回転軸とする二次元運動は,角膜網膜電位を利用したENG(electro-nystagmogaphy)あるいはEOG(electro-oculograhy)として,現在臨床検査として最も広く用いられている。
一方,X軸を回転軸とする眼球運動,すなわち一般的にいわれる回旋性の眼球運動を記録する試みは古くから行われてきたが,現在臨床的に使用可能なものは,サーチコイルを用いる方法とビデオ画像を用いる方法の2つである1)。しかし,サーチコイルを用いる方法は,コイルを埋め込んだコンタクトレンズを装着すること(侵襲性)や,磁場の中に頭部を固定しなくてはならないことなど,臨床検査としては不向きな点が多く,動物実験などの研究以外には用いられ難くなっている。他の1つであるビデオを用いた方法は,EOGと同じようにVOG(video-oculography)と呼ぶことが一般的になってきた。
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