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Ⅰ はじめに
抗菌薬が発達した今日においても深頸部感染症は重症化し,縦隔内にまで波及することがある。このような縦隔炎は降下性壊死性縦隔炎descending necrotizing mediastinitis(DNM)と呼ばれ,その致死率は25~40%ともいわれている1)。臨床現場において,われわれ耳鼻咽喉科医は重症感染症である深頸部膿瘍の患者に遭遇した際,糖尿病などの基礎疾患があれば内科など適切な当該科と相談するとともに,炎症の波及程度を速やかに評価し,DNMの可能性があれば直ちに呼吸器外科を含めた他科とも連携し,外科的治療を含め迅速に的確な治療を施行する必要がある。
今回われわれは急性喉頭蓋炎から重症深頸部感染症を引き起こし,縦隔,腋窩にまで炎症が波及した患者に対し,頸部膿瘍ドレナージ,経胸部での縦隔膿瘍ドレナージ,さらに腋窩ドレナージを併用し救済し得た1症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。
A 73-year-old man with acute epiglottitis developed descending nectotizing mediastinitis and abscess in the axillary space. Surgical drainage of the abscess via transcervical and transthoracic approaches was performed. Postoperative course was successful and the patient was discharged 33 days after surgery.
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