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あとがき
丹生 健一
pp.172
発行日 2010年2月20日
Published Date 2010/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101556
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2010年(82巻)の鏡下囁語は,1月号・2月号と私の恩師お二人が続きました。1月号は市村恵一先生(自治医科大学)の教育論。私自身,駆け出しの時期に,市村先生という素晴らしい教育者の下で学ぶことができたことは本当に幸運でした。お会いして20年,医師としても教育者としてもまだまだですが,市村先生の教育方針を肝に銘じて,現役生活の後半,後進の育成に励みたいと思います。それにしても,辻静雄さんの「人間は楽しみにすることを職業にしてはいけない」との言葉には,ハッとしました。私自身も仕事を仕事と思わず,趣味のように楽しんでしまっているところが多々あります。このことは,恵まれない労働条件で働くわれわれ勤務医にとっては,生命線ともいえる大切なモチベーションだと思いますが,そのなかにいろいろな甘えが生じてくることを戒めるものなのでしょうか。
今月号の鏡下囁語は加我君孝先生(東京大学名誉教授)の万年筆のお話。たしかに加我先生からのお便りはいつも太字の万年筆です。一目で誰からかわかる大きな字で書かれた温かい一言は,短いですがとても励みになります。私が愛用しているのは,教授就任祝いに貰ったモンブランの万年筆。やはり太字です。同じく耳鼻咽喉科医である妹から,「教授の署名が教室員の先生方の人生に大きくかかわるのだからね」と渡されました。就任して今年で10年目,その言葉の重みを実感しています。
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