- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
冬季五輪の興奮冷めやらぬ3月上旬,巌流島がこんなにペチャンコだったんだと,がっかりしながら日本喉頭科学会開催地の下関でこの編集後記を書いています。今回のオリンピックは,スケート陣がスピード・フィギュアともに奮闘しましたね。女子フィギュアシングルフリー最終組の視聴率は瞬間最高46%に上ったそうです。その時間帯,私は神戸市郊外で行われた臨床研修指導医講習会で『対応に困った研修医』という講義の講師を務めていました。浅田真央選手の出番が近づくにつれ,皆が携帯のワンセグ画面をチラチラ見始め授業になりません。止むなく中断して,皆でテレビ観戦としました。キム・ヨナ選手の演技が終わった瞬間,参加者からは大きなため息。一世一代の大舞台で憎らしいほどの完璧な演技は,敵ながらあっぱれな精神力です。代名詞のトリプルアクセルを2回とも決めた浅田選手も見事な演技でした。後半少しミスが出たのは残念でしたが,金メダルはソチ五輪に取っておきましょう。落胆のうちに再開した私の講義は,急遽タイトルを『指導医の在り方』と変更し,「もしあなたが真央ちゃんの指導医だったら,こんな時,彼女にどう声をかけますか?」を討論しました。「残念だったね」「銀メダルおめでとう!」「良く頑張った!」「声を掛けず,そっと一人にしてあげる」など,各人各様の論拠に基づいて意見が分かれました。私は「よくやった!」派ですが,皆さんはいかがですか?
五輪とはレベルがずいぶん違いますが,最近の若い人たちは舞台度胸があってプレゼンテーションが上手ですね。昨日・今日と行われた日本喉頭科学会でも,新人と思しき先生達が皆さん堂々と発表していました。近年の日本の教育改革の成果なのか?それともIT時代の賜物でしょうか? ただ,ちょっと,無精ひげにネクタイ緩め・腰パンと,スノーボードの国母選手風の先生がみかけられたのはいただけません。なんせ五輪で8位入賞の実力をもってしても世間から批判を受けるぐらいですから…つまらないことで損をしないようにして欲しいですね。
さて,本号は,たくさんの投稿論文を掲載することができました。いずれも日常臨床に役立つ示唆に富んだ論文です。ご投稿いただいた先生方に改めて感謝申し上げます。本号が書店に出るのは,ちょうど新入医局員を迎える4月です。卒後臨床研修制度の導入で一時減少していた耳鼻咽喉科医志望者数も最近持ち直しつつあるようです。本誌は,これからも耳鼻咽喉科専門医を目ざす先生方の良きパートナーたらんと,今年度もさまざま特集やシリーズを企画しています。新人の先生方にご愛読とご投稿を,ぜひお勧めいただきますようお願いいたします。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.