- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
医師の働き方改革推進のため,令和6(2024)年4月から医師に対して労働基準法等に基づく休日・ 時間外労働時間の上限が適用され,労働時間の短縮が求められています。これは,診療活動のみならず教育・研究活動にも大きな影響を与えると考えられることから,質の高い医学教育・医学研究をより効率的に実施していくことが求められています。一方,日本専門医機構は,このたび,育児・介護休業法附帯決議への対応の観点から,子育て世代の支援 (育児と仕事が両立可能な職場環境整備)を行っている医療機関の研修プログラムについては,特別地域連携プログラムの設置を条件に,専攻医の採用数に加算を行う方針となりました。今や,専攻医に女性が占める割合は40%となり,研修期間中に出産や育児などのライフイベントを経験することは「特別な事情」ではなくなっています。専攻医採用数の対策のためではなく,女性専攻医が男性と同等の臨床経験を積めるような環境を整え,女性耳鼻咽喉科専門医の質を担保することは,日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会にとって喫緊の課題です。こうしたことから,本学会では,タスクシフトやICT化などの医師の働き方改革や,院内保育,病児保育,延長保育,夜間保育施設,男性専攻医の育児休業など,子育て世代への支援への取り組み事例を調査し,働き方改革と子育て世代の支援の推進に取り組んでいきます。読者の皆様も,成功例をご存知であれば,ぜひ,情報のご提供をお願いいたします。
さて,今月号の特集は「真珠腫まるわかり!」です。中耳真珠腫に対する手術では,外耳道後壁を温存するか? 外耳道後壁を再建するか? 削開した乳突洞を充填するか? 1回で終わらせるか? 段階手術にするか? など,さまざまなポイントで術式の選択が求められます。専攻医や専門医を取得したばかりの読者の皆さんは「なんでこんなにいろいろあるの?」と思われていることでしょう。本号では,真珠腫のエキスパートの皆様にこの質問に答えていただいています。全編お読みいただくと「なるほど!」と解っていただけると思います。ぜひ,ご通読ください。
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.