特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで
Ⅰ.再建材料とその採取法
5.その他の再建材料―遊離空腸・下顎プレート
浅井 昌大
1
1国立がんセンター中央病院頭頸科
pp.59-64
発行日 2009年4月30日
Published Date 2009/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101419
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Ⅰ 遊離空腸
1.はじめに
頭頸部癌の広範囲切除後の再建には,その使用目的に応じて欠損部を充塡できるボリュームのある厚い腹直筋皮弁,薄い前腕皮弁,中間的な外側大腿皮弁などが遊離皮弁として,また硬性再建を複合組織移植として含む場合は肩甲骨皮弁や腓骨皮弁などが用いられる。もともと管腔臓器で粘膜組織をもつ遊離空腸は下咽頭頸部食道の再建などで非常に有用で咽喉頭頸部食道摘出時の再建には標準となっている1)。遊離空腸はきわめて薄くてしなやかで粘膜組織から成るため,頭頸部管腔臓器と粘膜同士で連続できることより接着性がよいことから化学放射線療法後の縫合不全が懸念される症例でも瘻孔形成の率が低く,救済手術でも安全に用いることができる再建材料である。またきわめて薄いうえに柔軟なことより特殊な症例ではあるが喉頭温存した中下咽頭後壁,輪状後部の切除後再建の場合には最も誤嚥が少なく有用である2)。
今回は,最も普遍的に用いられている咽喉頭頸部食道切除後の再建としての遊離空腸を例に術式を詳述する4)。
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