特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで
Ⅰ.再建材料とその採取法
1.皮膚―植皮
櫻井 裕之
1
1東京女子医科大学形成外科
pp.7-12
発行日 2009年4月30日
Published Date 2009/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101411
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Ⅰ はじめに
皮膚移植は古代インドにおける造鼻術に始まる古い歴史をもち,現代の頭頸部外科領域において最も頻用される再建材料の1つである。皮膚の移植法としては,植皮術と皮弁移植術の二通りの方法があり,生着過程が全く異なる。前者は移植皮膚の血流が術直後には途絶しており,移植床からの血管新生により生着を得るのに対して,後者は移植直後から機能的な血流を有する形で皮膚を移動する術式である1)。
長い皮膚移植の歴史のなかで,植皮術の歴史は比較的新しく,スイスの外科医Jacques Louis Reverdinが1868年に成功したのが世界初とされている2)。その後,20世紀前半までに植皮術はほぼ確立されたのに対して3~5),皮弁移植術は微小血管吻合技術の導入や皮膚血管解剖の解明に伴い,新たな術式の開発が現在も進行している。
しかし前述のごとく,植皮術はその生着過程の特殊性から,移植床の準備から術後の固定法に至るまで,周術期の管理が重要である。本稿では,皮膚移植術の1つの方法としての植皮術に焦点を当て,その実際に関して詳述する。
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